ラズベリー
そこへ英理が後ろから抱きついてきた。
「でも、なんで葵さんと
同じ曲だったわけ?」
「それはね、葵の演奏途中に
こっそりと先生に頼んだんだ」
皆が納得していた。
確かにあの先生なら聞いてくれるだろうなと思ったからだった。
最初、美怜を睨んでいた子達も今は仲良くなっていた。
そして、もう1人後ろから照れくさそうに声を掛けた。
「かばってくれてありがと」
ボソッと耳元で言ってくれた。
「麻衣、なんて言ったの?」
わざと聞いてみる。
「な、何でもないわよ」
麻衣はすぐに踵を返して、静香と隅のほうに行ってしまった。
本当に素直じゃないんだから。
つくづくそう思うのだった。
先生の声がする。
「コホン。これで全プログラムを
終わりたいと思います」
まあ、悪魔でこれは授業の1つ。
パチパチパチ
明るいムードに包まれていた。
なんとか無事終わることが出来たのであった。
かなり危機一髪だったけど、楽しかった。
あたし、この学園に来てやっぱり良かったよ。
お母さん、お父さん。
そして心地いい眠りに落ちていった。