ロスト・クロニクル~前編~

 クリスティの登場で、まともに食事をしていなかったからだ。

 つまみ食いをしつつ、自分の将来を考える。

 ラルフにあのようなことを言ったが、エイルは内心どうすればいいか悩んでいた。

 実家に帰ると手紙を出したというのに、まだ悩みは尽きない。

 恵まれた環境だと言われるだろうが、逆にそれが負担となる場合がある。

 つまり、決まった道に進まなければいけないということだ。

 今年は――

 春が訪れた時、自身の道を示さなければいけない。

 それが幸せに通じるものだと願わずにはいられないが、遠い先の運命を知ることなど不可能。

 ただ良い年の訪れは、良い結果を招き寄せる。

 だからこそ今年は、素晴らしい一年になることを期待できる。

 そう何物にも染まっていない美しい一年は、はじまったばかりだ。
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