ロスト・クロニクル~前編~

 ルーリア大陸唯一の採掘地。それにより大金がクローディアに流れ、国は大いに発展していった。

 しかし――

 それを快く思わない国が存在した。

 隣国のエルバード公国。

 そう、クリスティが貶しているミシェル・エルバードの故郷だ。エルバード公国はルーリア大陸の中で一番広い国土を持つ国で、それに比例し軍事力も高く他の国に干渉する傾向が強い。

 そしてエルバード公国は、他国に比べ国土が広い割には特産物に恵まれておらず、他国の特産物を奪い取り我が物にしていく。その結果、狙われたのはクローディア。そう、水晶の利権を欲した。

 クローディアの財力は大国以上の物を有しているが、軍事力はエルバード公国に劣る。以前よりその国からの干渉はちょくちょくと受けていたが、賢王と呼ばれていたクローディアの国王。彼が機転を働かせ、干渉を撥ね退けていった。だが、今はエルバード公国に落ちた。

 それは、国内部に裏切り者が出たのだ。

 現在の地位以上の地位を約束する。そのように耳元で囁かれたら、欲の塊の人間は相手に尻尾を振る。まさに、人間らしい心情。しかしそれによって、多くの犠牲者が生まれてしまう。

 クローディアの全てを奪う場合、厄介者は消去しないといけない。その者達は、王家の人間。よって裏切り者は、敵側と共に王家の血を求めていく。それにより、直系の血筋は消えていった。

 その中で、唯一シェラのみ生き残った。それは公子ミシェルが、シェラを気に入っていたからだ。彼は、シェラを娶りたいと思っている。その為自身の父親に進言し、彼女の命を救ってほしいと頼んだ。それにより、クローディアの王家唯一の人物として生き続けている。

 自分だけが生き残り、両親と実兄が殺された。その精神的な衝撃は大きく、心が一瞬にして崩れ去り人形と化す。

 その事件から、言葉と表情が消えた。

 それはエルバード公国と、裏切り者にしてみれば好都合だった。そう、自由に扱えるからだ。

 表面上シェラが女王の地位に就き、国を動かしていると思われている。だが、政は一部の者達が行っていた。まさに、好き勝手の独裁政治。それにより、徐々に過去の栄華が失われてしまっている。と言って、政をしている者達へ進言がないわけでもないが、シェラの味方に就いている者達の意見は聞き入れてくれない。だからといって、諦める者はいなかった。
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