巡り合いの中で

 そして翌日、意外な同行者にアリエルは驚く。


◇◆◇◆◇◆


「よ、宜しいのでしょうか」

「構わないよ」

「お仕事は……」

「部下に任せた」

 そのように言うのは、堂々とした態度を取るセネリオ。

 アリエルは侍女仲間に同行を頼むつもりであったが、まさかセネリオが同行を申し出てくれるとは予想もできなかったらしく、唖然としている。

 一方セネリオは、アリエルと出掛けるのが楽しみなのだろう、早く行かないかと促してくる。

「お、お待ち下さい。ミーヤを……」

「その猫が、そうなのか」

「ミーヤです」

「可愛いね。ああ、だからか」

 ミーヤを抱きかかえながら戻って来るアリエルを見て、セネリオは昨日の会話を思い出す。

 それは、アリエルが何気なく行った「猫」についての質問であった。

 それについてアリエルはミーヤに視線を落としながら、どうしてあのような質問をしてしまったのか話しはじめる。

 あの時からミーヤを隠れて飼育しており、周囲の反応が気に掛かって仕方がなかった。

 特にセネリオが猫嫌いだったら、どうしようかと危惧していたという。

 その心配にセネリオは大笑いすると、そのような残酷なことはしないと話し、自分も猫は好きだと伝え安心させた。

「よ、良かったです」

「もし嫌っているのなら、同行はしないよ。それに、嫌いじゃないことは昨日言ったと思うけど」

「す、すみません」

「慌てていたのなら、忘れても仕方がないよ。で、登録なんだけど……ミーヤは、野良猫だよね」

「そうです」

 アリエルの返事にセネリオは暫く考え込むと、野良猫だった場合登録に時間が掛かることを伝える。

 勿論、それは悪い意味で時間が掛かるわけではなく、検査等に時間を割くので、必然的に時間を多く消費してしまう。

 セネリオの説明にアリエルはコクコクと頷くと「お願いします」と、頭を下げた。

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