巡り合いの中で

 会いたい。

 会いたい。

 会いたい。

 主人が今どのような場所で何をやっているのか考えれば考えるほど、心が締め付けられ無数の針で幾重にも痛め付けられる。

 先程から身体が小刻みに震えているのは雨によって芯から冷えてしまったのか、それとも受け入れ難い真実に精神的に参ってしまっているのか――

 主人の捜索に行きたい、捜索隊に同行したい。

 そのように明確に伝えたのだが、捜索隊は「女の身で何ができるのか」と言われ、少女の同行を拒否する。

 しかし拒否されたところで、少女が納得できるわけがない。

 だから周囲に何も告げずに、一人で城を飛び出してしまう。

 本来、少女の性格は真面目で大人しい。

 また自分勝手に振る舞う人物ではなく、命令に忠実に従う。だからこのような突拍子もない行動を取ること自体、異例といっていい。

 だが、敬愛している主人が絡むと性格に変化が生じてしまい、今の散々とも呼べる状況に至る。

 捜索にあたってそれ相応の準備と対策をしないといけないのだが、感情のままに動いたことで、それらの準備を怠ってしまう。

 自分自身の認識の甘さと、捜索隊に言われた「女の身で何が――」という言葉を痛感し、逆に捜索に赴いた者達の足を引っ張ってしまうことになる。

(夢ならいいのに)

 白昼夢の幻であれば、どれほどいいだろうか。

 そのように願ったところで、濡れている服や足から伝わる痛みが、これが現実だと教えてくる。

 現実は想像以上に厳しいもので、か弱い少女に容赦なく攻撃を仕掛け、肉体と精神の両方を甚振る。

 それにどのように願ったところで、神が明確な回答を述べることは一切ない。

 主人が、城に戻っていたら――

 ふと、そのようなことを考えてしまう。

 先に捜索隊が見付けだしていたら、自分の行動が無駄になってしまう。

 いや、行動が無駄になってしまってもいいのだが、一人雷雨の中を出歩いたことを咎められたらどうすればいいか。

 少女は主人が何を言いどのような態度を見せるのか、それに対して恐怖心を抱く。

(すみません)

 刹那、少女の心配を嘲笑うかのように雷鳴が響く。

 大気を震わす大音量に少女は身を竦ますと自分自身を抱き締めていた。

 勿論、このような悪天候の中を一人で出歩くのは無謀そのものといっていいが、だからといって天候の回復まで大人しくしていられる性格ではない。
< 2 / 161 >

この作品をシェア

pagetop