不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
ぼんやりとする意識の中で卓巳君のかすれた声が聞こえた。


「オレ……最低だな……」


卓巳君が最低ってどういうこと?

それって、本命の彼女がいるのに、私と体だけの関係を持っていることに、罪悪感を持ってるってことなのかな?


ううん、最低なのはきっと私の方だ。

2番目でいいなんてウソ。

ホントは、卓巳くんの彼女になりたい。

こうして体を重ねてつながっていれば、いつか私のほうを見てくれる。

いつか和美さんと別れて、私を選んでくれるかも。

そんなふうに、心のどこかで考えてるんだ。


さっきみた夢に出てきた、まっ黒な海。

あれはきっと私の心。

どんどん汚れて黒くなっていく私の感情。

もしも体の中にあるそんなものを見られたら、きっと嫌われちゃうね……。


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