不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
顔を上げて目の前の鏡に映った自分の体を眺める。

胸や首筋につけられた卓巳君の紅い印を指でなぞる。


どうして……?

いつもはキスマークなんてつけないのに、どうして今日に限ってこんなもの残したんだろう……。

いつもとはちがう卓巳君の強引な仕草を思い出して、体の奥のずっと深い部分が疼きだす。


ずるいよ。
こんな跡を私の体に刻みつけるように残して……。

これからしばらく、私はきっと鏡を見るたび思い出すんだ。

早く忘れたいのに。この印も早く消えてほしい……。

なんてウソ。
消えないで。
ずっと残っててほしい。

卓巳君が私を抱いた証……。

どうか消えないで……。


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