不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
卓巳君に会うために気合を入れてオシャレしたのとは大ちがい。

服装も髪型もアクセサリーもどうでもよかった。

首筋のキスマークを隠すために、タートルのニットを選んだ。ただそれだけ。


「あのさぁ……」


優一君がタバコを灰皿に押しつけながら口を開く。


「あいつ、なんも言ってくれないでしょ?」

「え?」

「卓巳」

「あ……う、ん」


優一君がなにを言いたいのかよくわからなかったけど、とりあえずそう答えた。


「やっぱなぁ……」


なにかに納得するように、ため息を吐き出しながら、うんうんとうなずいている。


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