不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
私は卓巳君のもとへ駆けだした。


「待って! 卓巳君っ!」


卓巳君が振り返る。

もうちょっとで彼に追いつける。

そう思った瞬間、アスファルトの段差にブーツのつま先が引っかかった。


「きゃ……」


そのまま卓巳君の胸の中に勢いよく飛びこんでしまった。


「うわっ」


そのはずみで、卓巳君の体も傾く。

ふたりでその場に崩れ落ちた。

私をかばってしりもちをついてしまった卓巳君。その首に、腕を絡ませてしがみつく。


「萌香ちゃん、大丈夫?」


卓巳君はそっと抱きしめてくれた。

彼の腕に包まれた瞬間、今までずっと我慢していたものがはじけてしまった。


「大丈夫じゃないよ……もう、無理だよ……」


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