不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
どうしよう。

こんなところを、よりによって和美さんに見られちゃうなんて。

こういうの修羅場っていうんじゃないの? 

まさに浮気現場を押さえられた、そんな瞬間だった。


「お嬢様!」


お嬢様?

声がした方を見ると、和美さんの後を追って、スーツ姿の男性が近づいてくる。

年齢は三十代前半って感じ。

空手とか柔道とか、格闘技系のスポーツでもやっていそうなほど、体格がいい。


「山川(やまかわ)、車に彼を乗せなさい」


山川と呼ばれたスーツ姿の男性は、「はっ」と短く答えると、卓巳君を抱えるようにして立ち上がらせる。


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