不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「やっぱ足りなかった?」


卓巳君はクスリと笑うと、また私にじわりと体重をかけた。


私の体はもう卓巳君に夢中になってた。

完全に溺れてる。

だけどそれはもう体だけじゃないと、自分でもわかってた。


卓巳君が私の上で一瞬ツラそうに顔を歪ませる。
そんな表情も……。


「――ツッ……萌香ッ」


その時に私を呼ぶかすれた声も……。

好き。好き。好き。好き。

口からこぼれそうになる2文字を、私はぐっと飲みこむ。

涙で潤んだ瞳に気づかれたくなくて、そっと目を閉じた。


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