不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「あのっ。ごめんね、なんかマズそうだよね。もっと気の利いたもの作ってくればよかった」


もう泣きそう。

早く容器を返してもらって帰ろう。

そう思って、手を伸ばそうとした時……。


「すげ――……」


卓巳君がポツリとつぶやいた。


「え?」

「これ、萌香ちゃんの手作り?」

「えっ。うん。ていうか今日の晩ご飯そのまんまなんだけど……」

「すげぇな。オレ、こんなちゃんとした和食、久しぶりかも」


そう言って、手づかみで筑前煮のゴボウをひとつ、口に入れた。


「うまっ」


子供みたいに無邪気な笑顔をしてくれるもんだから、急に力が抜けてしまった。


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