不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「ほらっ。あーん」

「え……」


改めてこんなことされると、急に恥ずかしくなってきた。


「ほらっ。口開けてみ?」


卓巳君は相変わらず楽しそうに笑ってる。

きっと彼の言動にいちいち振り回される私を見て楽しんでるんだ。

ホント意地悪なんだから。


「開けろって」


なに、その命令口調。

からかわれてばっかだし。

なんでも思い通りになるって思われてそうで、悔しい。

頭ではそう思ってても、やっぱり私は従ってしまう。


そっと口を開けた。

はずかしすぎて、目線をどこに合わせたらいいか困る。

視線をキョロキョロ動かしていたら、口の中ににんじんの甘みが広がった。


「おいしい?」


まるで自分が作ったみたいに自慢げに微笑む卓巳君。


「おいひぃ……」


私はモグモグと口を動かしながら答えた。

本当はドキドキして、味なんてよくわかんない。

わかんないけど、この味を一生忘れないと思う。

卓巳君が私の口の中に入れてくれたこのにんじんの味を……。

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