Dead or Alive
「ねえモモちゃん、名字で呼ぶのやめようよ」
「………え?」
前の座席に座る辻村さんがこちらを──否、私を軽く睨みながらそう言った。
え、待って何で睨まれてんの?
というか言葉の意味を計りかねるんだけど。
「だから、名字呼びやめろっつーの」
「一気に口悪くなったな。でも今更やめろって言われても慣れちゃったんだけど」

私は中学校時代からずっと名字呼びをしてきた。そのため、今更「名前で呼べ」と言われても無理な話である。
辻村さんは軽くため息をつくと、

「最終手段。今から名字呼びしたら百円没収」
「えーっ!?百円も!?高いって!!」
「ナイスアイデアだよチナツ!」
海老原が指を鳴らしてそう言った。
ナイスアイデアじゃねーよ!
「じゃあ私ものーろおっ!」
「私も私も~!!」
「皆のるの?じゃあボクものるーっ!!」
おいおいおい、これは賭事なんかじゃないんだぞ?
百円没収を免れる為には名前で呼ばなきゃだめってことだよな?
あ、いやまて!別に喋らなくてもOKってことじゃ……

「喋らないとか無しだよ」

…………………、
辻村のバカヤロ──────!!!!!!

と、思ったのは内緒で。
< 12 / 15 >

この作品をシェア

pagetop