Dead or Alive

Game1 リンカンガッコウ。

私は桜泉水高校──通称サイコーの校門をくぐった。
7月に入ったばかりのこの季節。今日は私達二年生にとって、特別な日。
何故なら、林間学校の班決めがあるから。
二年の玄関に向かうにつれて、その話題ばっかり聞こえてくる。
まあ、私も、楽しみじゃないって言ったら嘘になるんだけれど。

「あ、モモカ発見ーっ!」
「げっ、海老原!と、林谷さん」
「なによ、その『げ』って!」
「おはよーモモカちゃん。ほらー落ち着きなってミキ!」
2人は同級生でクラスメイト、そして幼なじみの海老原未輝と林谷彩だ。
私達はいつも行動を共にしている。
「うーん、マミとハルナとチナツは先に来てるのかな」
「マミはそうかも。ハルとチナツはどうだろね」
マミ、ハルナ、チナツというのは、これまた一緒にいる友達だ。
青柳真美、大峰春奈、辻村知夏。
「あ、ホラ!噂をすればって正にこのことだよね!おーいハルナ、チナツ~!」
海老原が振り向いて右手を大きく振る。
振り返ると、楽しそうに話をしている大峰さんと辻村さんがいた。
2人はこっちに気付くと手を振り返してきた。
大峰さんはキラキラな笑顔で、辻村さんはにっこり微笑んで。
「おはよーみんな!早くないっ?」
「いつも通りだよー。一番早いのはマミ!」
笑いながら話す大峰さんと林谷さん。
ふと時計を見ると、もう8時5分になっていた。

「そろそろやばくない?」
「うわっ、まじだ!モモちゃん行こ!」
辻村さんはそう言って私の腕を引っ張った。
痛いって、痛い。
「ちょい待ち、置いてくなって!ねーえーっっ!!」
「むりー待てなーいっ!つかマジ早くしないと予鈴鳴るって!」
海老原が叫ぶと、辻村さんが叫び返す。
海老原は「もーっ」と言うと、林谷さんの手を取って走り出した。林谷さんは大峰さんの手を掴み、海老原にひきずられないよう自身も走った。
私は追いつかれるのが嫌いなので、辻村さんを引っ張って──否、ひきずって教室に駆け込んだ。
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