レンタルな関係。

流川に背中をさすってもらいながら。

 
胃の中のもの、すべて吐き出してしまった私。

 
も、ものすごく…不本意なんですけど。

 
こんな醜態…コイツに見られるなんて…



「全部出しやがったな、お前」


 
洗面所で、口をすすいでから部屋に戻った私。

 
すっかりひとりに戻った流川は、呆れてソファに腰かけていた。



「す、すっきりしました…」


「あれだけ戻せばすっきりもするだろーな」


「ハイ」


「しかし、いい度胸だ」


「え?」


「俺が買ってきてやった食い物、全部すっかり出しちまうんだからな」


「ああ…ええっと」


「落とし前、どうつけるつもりだ?」


 
ええええ?

 
おと、落とし前って!


 
「な、なに? 落とし前って」


「どうつけるんだ?」


「ど、どうって…そんなぁ」


 
両手を組んだ流川。

 
ちょっと、その目つき…アンタはどっかの組長かっ。



「ご、ごめんってば。私もこんなになるなんて思ってなくて」


「やめとけって言ったろ?」


「…言ったけど…だから、ごめんってば」


「いや、許せねーな」


 
そう言った流川は。

 
テーブルの上に乗せてあったピアスを取り上げて。

 
手のひらにのせて、包み込んでしまった。


 
え? え?

 
ピアス、取り上げ?

 
うそ~…

 
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