レンタルな関係。

「唯衣、誕生日、おめでとっ!」


 
バイト先に着くと、麻紀のでっかい声が飛んできた。



「あんたもやっとハタチね。これでお酒もタバコも男も解禁ねっ!」


 
4月生まれの麻紀は、私より先にハタチをやっていて。

 
っていうか…男って。

 
オネエマンの言う、ちんちくりんな私でも、一応、そっちは解禁済みですけども…



「ハイ! これ、あたしからっ」


 
言って。

 
麻紀が差し出したのは、巨大な紙包み。



「な、なにこれ…麻紀」


 
もしもーし、麻紀さん、聞こえますか?

 
包みに、あなた隠れちゃって見えてませんよ~。



「なにって。プレゼントじゃん」

 
 
包みの後ろから麻紀の声。

 
おいおいおい、これじゃ、しゃべる紙包みだよ…



「いや、それは分かりますけど」


「見る?」


 
…と言いながら。

 
バリバリバリっ!!

 
破いてます、すでに。



「う…うわぁ…」



中から顔を出したのは、巨大なカエル…のぬいぐるみで。



「ま、麻紀…これって」


「可愛いでしょ?」


「か、可愛いけど…」


 
しかし…ぬいぐるみって!

 
しかも…でかすぎるって!


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