レンタルな関係。

「は~ よかったぁ。このっ! カエルめっ!」


 って、グリグリしてた私が悪いんだけど。

 カエルの頭を叩いて、一応叱ってやる。


 あ。

 叩きすぎて頭が変形してしまった…

 ちょっと、可哀そう。


 カエルの頭を抱えて、中綿を直してやって。

 引っかかったせいで開いてしまったファスナーを閉めてやろうとしたとき。


「ん?」


 あれ?

 なんだこれ?


「ポケット?」


 開いたファスナーの奥に、カエルの体よりも一段階薄い色の布が見えていて。

 
「何ここ。中綿入れじゃなかったんだ」


 カエルにファスナーが付いていたのは知っていたけれど。

 てっきり中綿を入れるためのものだとばかり思っていた私は、

 一度もここを開けたことがなかったのだ。


「なんでポケットなんか…」


 カエルを作った人、なにを考えていたんだろ?

 荷物入れ?

 まさか、カバン?

 いや、このデカさでそれはないな…

 あ。もしかしたらカイロ入れ?

 抱き枕代わりのカイロ入れぬいぐるみと考えれば、

 このカエルのデカさにも納得がいくけど。


「へえ、ポケットだったんだぁ。へえ」


 新たな発見。

 こういうときって、意味もなく嬉しくなる。


 手を入れると。


「ん?」


 またまた何か発見。

 かさっ、と指に触れる紙の感触。

 
「取り扱い説明書か?」


 思って。

 中の紙を引っ張り出せば。


 
 ………。





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