レンタルな関係。
「いちいちからかわないでよっ」
「お前さ、全然、男に免疫ないだろ」
「う…」
見透かされてるっ。
たぶん今私、顔、真っ赤なんだ。
流川は私の反応を楽しむように、その手をまた伸ばしてきて。
ふかれてぼさぼさになってる私の髪に、そっと指を通す。
手ぐしで髪を整えられて。
――ぼぼぼっっ。
顔にはさらに、火がともる。
「やめっ…」
「ふ……ホントおもしれーな、お前」
目を細めた流川は。
「俺を変質者に間違えたバツだ。ま、この辺で許してやる」
バスタオルをくるくるっと取り外した。
そのまま何事もなかったかのように部屋の奥にずんずんと一人で進んでいった流川は、自分の荷物が入った大きなバッグを肩にかけて玄関に戻ってきた。
その場で立ったままだった私の横をするりと抜けると。
「じゃ」
振り返ってぽつり。
何? この台風みたいな人。
つ、ついて行けない…
「あんたね、人のこと散々からかっておいて…」
「まだ、居て欲しいのか?」
「い…」
反抗しようと口を開くけれど、言葉が出てこない。