レンタルな関係。
 
引きずられながら歩いて。

 
電車に乗って。

 
っていうか、押し込められて。

 
しかもっ。

 
これ、最終電車ですけどっ。



「ど、どこに連れていくんだっ、流川直人!」


「あの時のヤツのとこって言ったろ」


「嫌だ! 行かない! 私が行ったって意味ないじゃんっ。別にアンタの女関係なんてどうだっていいんだってばっ、流川直人っ」


「いちいち、フルネームで呼ぶな、バカ」


 
私達のやりとりを乗客全員、注目してます。

 
最終電車だから、人がまばらで良かった…


 
って、そうじゃなーいっ!



「どこまで行くの?!」


「着いてくれば分かる」


「当たり前じゃんそれ」


「紹介してやるよ」


 
流川直人…

 
アンタの女に私を紹介してどーすんのよ。



「よし。着いた。降りるぞ」


「んーんーんーっ!」


 
がっちりつかまれた腕を振り回して、抵抗しながら降りる電車。

 
あっけに取られて注目する乗客。


 
ごめんなさい。うるさくて。

 
すべてコイツのせいですからっ。


 
心で叫んでみても。

 
ゆっくり遠ざかる最終電車。


 
ああ無情……
 

< 81 / 314 >

この作品をシェア

pagetop