秘密警察は、ヤンキー少女と天然超能力者の上でドSに微笑むの知っているか?

ピュアな心のヤンキーズ


「アサユキをコントロール出来るっていえばいいのかな。茉莉ちゃんに分かるように言えば……バリアって感じかな。」




バリア……


何となく分かったぞ。




「うぇーい、バリアー!俺セーフだからな!」



ってやつだろ?


鬼ごっこで頻出するアレだな。







鈴白さんはタバコ片手に妖しく笑う。





「それで俺達は犯罪を犯したアサユキを追ってる訳だ。

まあ第二師団は第一と比べればそこまで機密に関わってる訳じゃねえ。気楽に行こうぜ、茉莉。」







関東一の不良が警察なんていう嘘みたいな本当の話。






そうして、第二師団に俺は入団しちゃったんだ。






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





西門中の音楽室には不良が集まるらしい。




そこにはその日も10人余りのカラフルヘアーの少年達が集まっていた。





「って訳ですよ。本当あいつら調子乗ってますよね、茉莉さん。」



「茉莉さん、シメにいきませんか?!俺らももうすぐ卒業ですし。」





彼らが話しかけてるのは、ピアノ用の椅子に腰掛けている少女。



顔は綺麗だが、アホっ面だ。





「……茉莉……具合悪い?保健室行こうか?飲み物買ってこようか?」



優しい、それでいて甘い声に茉莉ははっと意識を取り戻す。



「……遙、そんな心配そうに見んな。へーきだからさ。」



紫の髪に色気漂うその男。


藤堂 遙(toudou haruka)。


茉莉の幼馴染みで、西門中の副番長を務めている。



(遙はマジで心配症だよな。具合悪いっつーか、連日の深夜の仕事で寝不足っつーか。)



あの日から、一週間。


ほぼ毎日、夜になると鈴白さんに電話で呼び出され、色んな所に沙悟浄を探しに言ったり、聞き込みをしたり。



庵にも、「あんまり無理したらだめだよ」って言われたけど……


深愛も庵も、もちろん鈴白さんも、物凄く役に立っている。


対して俺は、庵を守ったり、周りを蹴散らしたり……まぁイマイチだ。



それで焦ってんのかもしれないけど、イマイチ調子が出ない。




「それで、何だって?」



「海坂の奴等ですよ!こないだ俺等でゲーセン行ったんですけど……」



金髪のヤンキーがそう言うなり、茉莉の表情が険しくなる。




「俺も誘えよ!」


「いや、いくら茉莉さんとはいえ、男臭い所に女の子を連れていけないって思って……」



遠慮がちにいう男に茉莉ははぁ、と一つ溜息をついた。



「あのなぁ、これ見てみろよ。」





「男男男。もう既に男臭いだろ!可愛い女の子の1人や2人、合わせてくれよ!!」



まるで盛のついた高校生男子の発言だ。




「話をずらさない。」



遙に言われて本来の話を思い出した。



「悪かった。それで、海坂がどうだって?」



「一般人にも迷惑かけてんすよ。怖くて誰も入れないって感じっす。」



西門中は一般人に迷惑をかけないように努力しよう、というなんとも健全なスローガンを掲げていた。


関東一になったからには、それを関東区域全体に約束させたのだが。


やはりトップ争いをした海坂は、そう簡単に話を聞いてはくれないようだ。







「それは、頂けねーな。」


「だね。海坂番長に最後のお礼参り、と行こうか?」



西門中副番長の黒い瞳は爛々と輝く。



「この戦闘狂が。程々にしろよ?」



まぁ多分、程々になんて無理だろうな、と茉莉は知っていた。




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