あなたのために。-光と影-
「…昨日の主犯二人に詰問したら、やはり『蓮条楓を殺せば族を大きくしてやる』と言われたそうです。
それを誰に言われたかは分からない雑魚だったので、二度と蓮条組の領域に踏み入れないように懲らしめました。
なのであの族はもう復活することはないかと」
背筋を冷気が通ったように、ゾッとした。
白兎の笑顔は一見温かみがあるように見えるけど、声のトーンが冷たい。
その声に触れたら全身凍ってしまいそうな、それくらいに冷たかった。
さっきまでは面白おかしくやっていたのに、これが彼等の本性なのだと思わされる。
「…それと奴等と一緒にいた女のことですが……」
白兎は言うのを躊躇うように、チラッと私を見た。
もしかして同じ職場の仲間だからって言おうか迷ってるの?
何を迷うことがあるのだろうか。
「…私は構わないわ。
あの女、元々私を見下して楽しんでたドブネズミ女だったもの。
あいつに哀れむことなんてないから」
あの女に同情したところで、体力の無駄。
私は苦しむ真姫の表情を思い浮かべ、嘲笑った。
白兎は驚いた様子で私を見てから、また表情を戻して話を続けた。