大好きなんです



おずおずと顔を上げてみるとゆっちゃんと峰くんがあたしを見ていた。



「そうゆーことなら俺も手伝うよ。まだ流にプレゼント決めてなかったし、ちょうどいいから」


「陸真のくせに気が利くわね」


「くせにって酷くない?」



ゆっちゃんと峰くんは仲良く話してるけど……


あたしにはよく分からないなぁ。


なんの話?



「さ、行くわよ、萌」


「行こっか、桃ちゃん」


「え?え?」



ズルズルとあたしは二人に引きずられるように連れていかれる。



ど、どうなってるのぉ〜〜!?




それから二人にいろいろなところにつれ回されて……


あたしは今、更衣室の中から出られない状況になっていた。



む、無理……!!


こんな服、恥ずかしすぎて出られないよぉ!!


絶対似合ってないし……



「萌〜、着替えた〜?」


「ゆ、ゆっちゃん……着替えた、けど………」


「じゃあ開けるわよ?」


「ま、待って!」



と言ったものの無情にもカーテンは開かれて……



「ひゃあぁ〜〜!!」



は、恥ずかしいぃ〜〜!!!



「萌……」


「何も言わないでよぉ」



似合ってないことぐらいちゃんと分かってるから……



「かわいい!!」


「へ?」


「その服すっごく似合ってる!」



予想外すぎてぽかーんゆっちゃんを見る。



「に、にあう?」


「うんうん、かわいい!」


「おー、さすが夕希が選んだ服。桃ちゃん似合ってるじゃん」



ひょこっと横から峰くんの顔が出てくる。



本当に、似合ってるのかな……?



「じゃ、これに決定?」


「そうね。これにしましょう。
いい、萌。明日はそれ着て霧谷のとこ行きなさいよ」


「え、これ着て?」


「これは決定事項だから」


「えぇ〜〜!!」



だって、これ……



「は、恥ずかしいのに……」



そんなあたしの呟きはゆっちゃんと峰くんに届かなかった。






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