大好きなんです




うーん……霧谷くんの予想通りになっちゃったな。


つまりは、あたしと霧谷くんは家に入ってから一度も言葉を交わしていない。


ちょっと寂しいなぁ……


でも優子さんとお話したり、料理をするのは楽しいな。



「萌ちゃん、ミネストローネはどうかしら?」


「あ、はい。こんな感じでどうですか?」



出来上がったばかりのミネストローネを少しお皿に盛って優子さんに差し出す。



「うん、美味しい。萌ちゃんお料理上手ねぇ〜」


「ありがとうございます」



よかったぁ……


実を言うと初めて作ったから不安だったんだよね。


おいしくできてよかった。



「これならいつ流のお嫁さんに来ても大丈夫ね」


「へっ!?そんな……」



カアァッと顔を赤くしたあたしを見て、優子さんはくすくすと楽しそうに笑う。


うぅ……こういうところ霧谷くんにそっくりだよぉ。



「ねぇ萌ちゃん。萌ちゃんと流の馴れ初めってどんな感じなの?」


「えっ」


「流に聞いても教えてくれないのよ〜」



だから萌ちゃんが教えて!とキラキラとした目を向けられて。



な、馴れ初めって……


こ、告白をどっちからしたとか、そういうことなのかな。


でもそれは、あたしから告白しました、とかいうのはかなり恥ずかしい気が……



「むっ、無理ですっ……!!霧谷くんに聞いて下さいっ」


「あらあら、真っ赤になっちゃって」



かわいいわねぇ、という優子さんの言葉に、やっぱり霧谷くんを重ねてしまう。


うぅ……霧谷くんのいじわるなところは優子さん譲りなのかな。



完成したミネストローネは火を止めて、次はサラダを作ろうと野菜に手を伸ばす。



「そういえば、萌ちゃん」


「はい」



野菜を水で洗いながら、あたしは優子さんの方に顔を向けた。






< 169 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop