蜜は甘いとは限らない。【完】
なんて、軽く脅しを入れてくるこの人は、あたしが今更嘘を付くとでも思っているのだろうな。
あたしはもう、嘘は付かないつもりなのに。
ただ、
「…嘘は、付きません。
ただ、今この場では言えません」
「あ?
お前がここで話をすると言ったのにか?」
「…それは、寺島との説明のためです」
「…拓哉には、聞かれたくないと」
「はい」
はぁ…長いため息を零して自分の頭をくしゃくしゃとかく。
綺麗に整えられていた髪がどんどん崩れていく。
「…分かった。
このことはまた今度聞く」
時間がある時に、俺に連絡入れろ。
そう言って名刺をあたしに渡す。
「登録、しておきます」
聞かない、という選択肢はどうやらないみたいだ。
「用が済んだならさっさと帰れ。
邪魔だ邪魔」
「言われなくても、こんな狭い家じゃなくて女の居る家に帰る」
「あ、そ」