無口な上司の甘い罠
「ここ入るぞ」

「・・・え?!こんな所はいるの?」

目の前には、高級そうなレストラン。

…明らかに場違いな私たち。

正装をしていない私たちが入るべきではない空間に、

私は入る事を躊躇った。


「せっかく二人で食べんだから、美味しい物食べたいだろ?」

「そうだけど、…なんだか場違いだよ、私たちの服装」


「気にしない、気にしない。誰かに見られるわけじゃないし。

ちゃんと料金払えば問題ないだろ?」

「エ、ちょっと、隆盛」

そう言う問題じゃないって。

嫌がる私を強引に中へと連れて行く。

…案の定、中にいたお客様も、店員も、私たちを凝視。


「やっぱ、帰ろうよ、隆盛」

「いいから・・・二人だけど大丈夫?」

「いらっしゃいませ、奥の席が空いております。こちらへどうぞ」

にこやかな店員の後に続き、中へと入っていく。

…一番奥の席は窓際で、外の夜景がきれいに見えた。


「…綺麗」

そう言って思わずため息が漏れる。
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