絶体絶命!死のバトル
そして…

11時になった。


あたしは、お母さん達と街を歩いてみる事にした。

心配なのは、あと1時間で首取りゲームが、始まってしまうという事。

トイレで抜け出そうとか、考えていたけれど、バス等に乗られたら、トイレどころの話じゃない。

「じゃあ、行きましょう」

そう言って、ホテルを出て、タクシーで移動すること10分…。

そこには、テレビでしか見たことのない、西洋らしいレンガ造りの家が立ち並んでいた。

キラキラと輝く川には、レトロな雰囲気を醸し出している橋、咲き誇る花々。

近場にあるレストランも、扉に三つの星が飾られている。


その街に溶け込むように、綺麗な服を着こなし、優雅に笑いあっている人達。


すごい…!!

あたしは、心からそう思った。

日本の古風な雰囲気も好きだが、洋風で、お洒落なこの街も気に入った。

それから、お土産屋さんに行ったり、観光場所を回った。

…現在時刻、11時58分……。


「じゃあ、そろそろお昼にしましょうか。そこのレストランに入りましょう」

お母さんが、あたしに笑いかける。

…レストラン。

なら、トイレと言って抜け出せるだろう。

「うん。お腹空いた〜。」

その店は、とてもアンティークな感じの店だった。
ぼんやりと、オレンジ色の淡い光が店内を鮮やかに照らす。

「あ…あたし、トイレ行ってくる。」

そう言って、席を立つ。

トイレの一番奥に入り、静かに目を閉じた。

数秒後、目を開けると、やはりあの白い異空間が広がっていた。


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