恋愛禁止(ホラー)
「あ、でも……」


ふと思い出したように呟いたのは薮田先輩だった。


「そういえば、寮生同士で付き合っているカップルって知らないな」


「あ、そう言われれば……」


そう呟き、笑い声がやんで真剣な表情を浮かべる。


「付き合うカップルがいないってことは、みんなその噂を信じているってことですか?」


あたしは更に質問を続けた。


「まぁ、昔からある噂だからみんなの中では暗黙の了解になっているのかもしれないな。寮生同士で付き合うなって」


「そうなんですか……」


「ま、まぁそんなに落ち込まないで。ただの噂だと思うから」


「そうそう。君たちが付き合うことで呪いなんてないって、みんなにわからせてやればいいんだよ」


慌ててフォローしてくれる先輩たちにお礼を言って、あたしと竜季は教室へと戻ったのだった。
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