恋愛禁止(ホラー)
あたしは緊張した状態のまま浴槽内を見回した。


今はまだ変わったところはない。


カナシバリのようなあの視線も感じない。


鏡もちゃんと自分の姿を写している。


入る時に感じたあの重たい空気はあたしの勘違いかもしれない。


そう思った時だった。


不意にあたしの右足に何かが絡みついて来たのだ。


「やっ……!!」


入浴剤の入った湯船の中、絡みついた何かがあたしの足をグイッと引っ張る。


その強い力に体が引きずられ、声を上げる暇もなくあたしは頭まで湯船の中に引き込まれていた。

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