恋愛禁止(ホラー)
そうだ。


あたしはお風呂の中で何かに足を引っ張られて……。


布団の中、あたしはそっと自分の右足に触れてみた。


そこには何かが絡みついているような感覚はなく、ホッと胸をなで下ろす。


「お湯がはってない湯船でビショビショになって倒れてたんだよ」


「お湯がはってない……?」


あたしはいろはちゃんの言葉に眉間にシワを寄せる。


あの時、たしかにお風呂にお湯が入っていた。


だからあたしは溺れかけたというのに……。


「あたし……どうして助かったんだろう……あの時何か握った気がするんだけれど……」


そう呟き、あたしは自分の手を見つめる。
< 170 / 316 >

この作品をシェア

pagetop