恋愛禁止(ホラー)
何を言われたのかも理解できなかったらしく、瞬きを何度も繰り返す。


あたしは、そんな竜季の手を握りしめた。


「お願い、あたしと恋人になって」


「な……に、言っているんだよ……」


竜季の声が震えた。


握りしめている手からも、微かな震えが伝わってくる。


「無茶苦茶なことを言っているのは分かっているの。でも……もう、これしか方法が……」


「やめろよ!!」


竜季はそう怒鳴り、あたしの手を振り払った。


「いろはは死んだんだぞ!? お前、それをわかって言っているのか!?」


「わかってるよ!!」
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