黒の瞳
 好きな曲ばかりだったからというのもあるだろうが、この最後の演技を、私は生涯忘れることはないだろう。全てに“終わりと始まり”を感じさせるような選曲は、まるで三楽章から成るオーケストラのよう。今シーズンの大会に、彼女のスケート人生が集約されていると言っても過言ではないだろう。

 彼女の笑顔も涙も、五年間ずっと追いかけてきた。そんな毎日がなくなってしまうことは、とても寂しい。でも、この別れは、次へ進むためにある。明日という日に向かって、私達はいつも旅立っている。そんな気がした。
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