死にたがりの少女をさらった愛することを忘れた狐
4話[それは犯罪です]

「おい。はっきりしろ」

頭の中に直接話かけてくるような不思議な感覚だった

「はい・・・」

握っていた果物ナイフは彼の手の中にあった


「なんでそんなに死にたいんだよ」

「・・・生きていても楽しくないから」

本当にそう

生きていても何も楽しくないんだもん

私なんて誰も必要としない

空気みたいな存在でしかない


「そうか。なら、お前を俺に攫わせろ」

「・・・え?」

さらう・・?

「な、どうして・・」

「お前は死にたかったんだろ?」

「は・・い」

「それならその死のうとした命を俺に差し出せよ」

綺麗な瞳のその青年はそう笑った

「だめです・・そんなことしたら犯罪・・ですよ」

「俺は人間じゃねえ。犯罪もくそもあるか」

「人間でしょ?」

どこから入ってきた見知らぬ少年にいきなり攫うとか言われて

命を差し出せとか言われて

頭が痛くなってきた

「人間じゃないよ」

そうい言ったと同時にそれまで人であったはずの彼の姿が変わっていた

獣の耳が付いていて、方耳にはシルバーのピアス

狐らしく、尻尾も9本あった

服装は平安時代のような着物を羽織り

髪も長く腰くらいまであった

そして色は銀色だ

瞳の色は変わるらしく青に変わっていた



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