死にたがりの少女をさらった愛することを忘れた狐

その折鶴が届いた次の日から

嫌がらせが始まった

看護婦さんから手渡されるソレらは

私の精神を崩壊させるには十分すぎるものだった


「もう嫌だよ」

「うん、もう良いよね」

「そう、楽になろうよ」

私の声に、違う私が答えてくれる

「そこにある果物ナイフを使おう」

「大丈夫、今度はちゃんと死ねるから」

「痛いのは一瞬だから安心しなよ」

そう

痛いのはほんの一瞬


突き刺したそのナイフは私には刺さってなかった

「お前、そんなに死にたいのか?」

目の前にいたのは知らない青年

黒髪に銀色のメッシュが入った髪形

瞳の色は黄色

服装は灰色のパーカーにボロボロのジーンズ


「だ・・れ・・」

「そんなに死にたいのかって聞いてるんだ」

「・・・・」

綺麗な目をしたその人は

はっきりとそう私に問いかけていた。

3話/完結

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