死にたがりの少女をさらった愛することを忘れた狐

「いづみ。」

「あ、おかえりなさい」

「ああ。」

会話はとても少ない

私から話しかければ、会話はしてくれるけど

吟華さんから私に話かけることはあまりない

「吟華さん」

「ん?」

「好きなものってありますか?」

「好きな・・何だ急に」

「いえ、特に意味はなんですけど」

「ふん・・しいて言えば人間界にあるチョコレートと梅干は好きだぞ」

「また、変わったチョイスですね」

「この組み合わせは美味いぞ」

組み合わせるんだ、食べるとき・・

「それだけか?」

「え?あ、はい」


その会話以降何も話さなくなりました(苦笑)

この沈黙は嫌いじゃない

時間がゆっくり流れるようで心地いい



「ああ、そうだいづみ」

「はい?」

「お前、今の名前を捨てろ」

「・・・へ?」

吟華さんは音も無く目の前に座る

そしていつの間にか私は彼の胸の中にいた

お姫様抱っこのような体制でとても恥ずかしい

「名前を捨てる・・?」


その意味合いが分かってしまったら

私は本当の意味で彼が怖いと思うだろう・・・
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