死にたがりの少女をさらった愛することを忘れた狐
7話[維澄]

次の日

私は吟華さんに名前を捨てる儀式

『切札の儀式』をしてもらうことになった


「儀式の最中は絶対に目を開けるなよ。
お前の名前に付いてる妖共に今度こそ喰われてしまうからな」

「はい。」

わたしは白い着物を着せられ

手には体を守る為のお札を握らされていた

「椿、弓矢と札を」

「はい、ここに!」

椿君が持ってきた弓矢は不思議な形をしていた

木の蔓が編み込まれ、先には鈴がついている、弦の部分にあるはずの物がない

「では、始めるぞ。」

目を瞑って大きく息を吐く

『我が名、吟華より命ずる。
この者に宿りし命(みこと)の名よ。
今解き放つ』

私の体が軽い

ふわふわ浮いているかのようだった

「ホントウ二ステチャウノ?」

え?

「イヅミ、イズミ、サミシイヨ」

何の声?

私の腕になにか冷たい物が当たる

「声を出すな!!!」

鋭い声に思わず息を呑む

「イヅミ・・・」

お父さん?

「コノナマエヲステルノカ?」

うん

ごめんね

約束したから

「コエヲキカセテクレ」

きっとこれは妖だから

声を出したら食べられてしまう

「この名と共に滅する。」

消えて行く

冷たい感触と私の名前

「目を開けろ」

目を開けると、やけに光が眩しい

「っ・・・眩しい!」

「そっちの眼では眩しいだろうが、すぐに慣れる」

「え?」

手渡たされる鏡を見て言葉を無くした

自分の瞳が金色だった

「これ、なんで私の瞳・・・」

「名を捨てたからな。」

吟華さんは私に一枚の紙を渡した

「これは?」

リン_

鈴が鳴る

リン_

「その瞳の下に、汝に名を与える」

まるで舞うように、彼は唱える

「"維澄"(いずみ)」

え?

「その身体に示せ。」

突然私の体が光る

それと同時に紙に書いていた名前が浮き上がり、私の左胸へ入っいった


「お前の名は維澄だ。」

「はい。、、維澄。」

漢字も響きも違うけれど

以前の私と変わらない名前に心なしか安堵していた

「身体、軽いだろう?」

「あ、言われてみれば軽いです」

これが名前を貰うということなのかな

随分軽くなった

「吟華さん、ありがとうございます」

「礼を言われる事などしていない」

「維澄様!お風呂に行きますよ!」

梓君に引っ張られて、浴室へと行く

「ふー、あったかいなぁ」

なんだが心がすっきりとしていて気持ちがいい

生まれ変わるってこう言うことなのかな

なんて思ってしまったり

付けて貰った名前にはとても満足してて

大切にしたい

心からそう思った
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