【完】籠球ロマンティック



「ダーチクショー、重てぇ」


「男ならしっかりしなさいよー!」


逸人の計らいで二人きりになった恋夜と律子は、頼まれたものを購入して夜道を歩く。


しかし、その荷物は全て恋夜が持っているから、律子は本当にただの息抜きとなってしまっているのだが。


「しょうがないわね、一本だけ持とうか?」


「いーよ、カッコつかないだろ?」


あまりにもぶつくさ恋夜が文句を言うものだから律子が立ち止まり恋夜の袖を掴むと、恋夜は少しぶっきらぼうな返事をする。


逸人に言われてしまったことのせいで、今度は恋夜が律子を意識してしまっていた。


落ち着け俺。落ち着け、大丈夫。いや、逆に何が大丈夫じゃない。


恋夜は考えていてはっと、今の状況を認識し、動きを止める。


袖を握った律子との距離が、かなり近いということに気づいてしまったのだ。


サラサラストレートのボブの髪の毛。大きな瞳は強気な色味を帯びていて、でも、きついという印象は無い。狐顔というより狸顔で、丸っこい印象だ。


大きな双丘は勿論、痩せ過ぎていない健康的な丸さのある体で、ウエストと足首はしっかりとくびれ、同学年の女子達よりずっと、成熟している。


律子がそのことを気にしているのは分かっているが、男の性なのか、思春期の性なのか、やはり、恋夜は意識すると緊張してしまうのだ。
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