【完】籠球ロマンティック
「あら、目を向けるべきは決勝トーナメントの決まった横浜特攻部隊じゃないわよね?随分余裕そうねぇ」


「は?……っておわっ!?美鶴、いつの間に!」


イツと真剣に話し合っていたものだから、後ろの気配に全く気付いていなかった。


「美鶴ってさ、バスケ現役の時チームプレイの中間地点にされたりしなかった?」


「大正解。身長も低くないし、フォワードとガードの中間みたいな使い方されてたわ」


リッコの考えそうなことだ。頭が良さそう且つ、ちゃっかり相手の懐に入ったり隙を見れそうな美鶴だから、自分の戦略の良いポイントに使っていたに違いない。


「優勝候補は……失礼、書き込んでも宜しいかしら?」


あくまで自分のペースを保ったまま返事を待たずして俺とイツの間にするりと細身を滑り込ませた美鶴は、持参した傾向ペンのキャップを外す。


「今回の優勝筆頭は、昨年末まで公式リーグにいた、この第一シードのチーム。それから、決勝トーナメント常連のここ。それからこのチームは……」


美鶴は第一シードのチームをマーキングしたその手で、手際よく、次のチームにペンを走らせる。
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