【完】籠球ロマンティック
バシィィィ、ドォン!とフロアに、俺が絶妙な場所でリバウンドを取って着地した派手な音がじんじんと響き渡る。


上背は無いが、ジャンプ力からオフェンスの要としてSF(スモール・フォワード)をしていた俺は、これも得意の一つだった。


試合をしてた下手くそバスケ部も、味方の奴等も、佳那汰も、見ていた他の男子生徒も、あろうことか隣で体育をしていた女子達も、息を呑んでこちらを見ていた。


やっ……べぇ!やっちまった!ンなこと初心者が出来ないことなんて、普通に分かるじゃん、馬鹿、俺!


シィィン、としている体育館の中で、俺はへらっと笑う。


「実は俺……天才バスケットマン?ってか、リバウンド王・香椎、的な?」


咄嗟に出たのは某有名漫画の名言。俺よ、アホか。ボキャブラリーあるだろ。


ついつい自分にツッコミを入れて冷や汗を背中に一筋流すと、次の瞬間どっと体育館が笑いに包まれた。
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