イジワル上司に恋をして
腕を解放するどころか、「めんどくさい」とか言うのってどうなの……?
さっき沈めた怒りがまた沸々と湧いてきて。
スッと顔を上げると、ヤツの目を見て言ってやった。
「初めから、勝手にアンタがわたしに構ってきたんでしょ?! わたしだってこんな面倒なこと……!」
ドン! と、黒川の胸に握った手を振りおろした。
――本当に、それだけなんだろうか。
面倒なことに巻き込まれたから、わたしはこんなにイライラとしているのだろうか。
「……まぁ、そう言われればそうだな」
『悪かった』ってひとこと言ってもらえば納得できる?
「反応がいちいち面白いからつい、な」
……違う気がする。
「なに? 謝ればいーのか? 悪かっ……」
「仕方ないじゃない」
もうなんか、自分で自分がわかんない。
「仕方ないじゃない! だって気になるんだもん。あの人に自己紹介されて、名前まで知られて。わたしだって知る権利あるでしょっ」
アンタが、不必要なくらいわたしに構ったりするから――。
「散々都合のいいときだけ人で遊んで、こっちから行けば〝関係ない〟みたいな態度ってどうかと思う!」
ああ、もう。
自分で何を言ってるのかさっぱりわかんない。
眉根を寄せて、唇を噛んで。
背が高いコイツを見るために、首が痛くなるほど見上げて。
なんでか視界はぼやけている。