イジワル上司に恋をして

「……あっそうですか! そうですよね! 元々わたしは部外者ですもんね。黒川部長がどんな恋愛をしてようが、今でも気持ち引き摺ろうが、バイトのわたしにはこれっぽっちも関係ないですもんね」


……結局、裏を返せば、冷たくあしらってしまうくらいに……過去になりきれてないんだ。
それは、つまり……。


「もしかしたら、寄りが戻るかもしれないですね」


どんな形にせよ、彼女は今でも黒川の心を占めてる存在なのかもしれない――。


感情が昂ぶると、うれしくても、悲しくても、悔しくても。涙が出そうになってしまう。
今回はどの理由なのか、感情的な今のわたしにはわからない。
ただ、その目から溢れないように堪えるだけ。


「……周りがなんて言おうと、当人たちがよければ……いいですもんね」


震える声で強がりを漏らす。
きゅ、と下唇を噛んで、瞬きをしないようにする。

瞬きをしてしまったら、一粒の雫が落ちてしまいそうで……。そして、一粒落とすと、それ以降は止めることが出来なさそうで。

しん、とした空気。
そこに突然聞こえた言葉に耳を疑った。


「――そんな顔、するな」


びっくりして、思わず黒川を見てしまった。
だって……そのセリフは……。昨日の夢の中で言われた言葉、そのままだ。

沈んでいた気持ちが一気に高まる。
あれは夢で、現実には起こり得ない。そう昨日、思ったし、今もそう思ってる。
それでも、期待せずにはいられない。

あの夢と同じように、引き寄せてくれるかもしれない……と。

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