幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜



「みのり、すっげー元気だったな」

「うん。久しぶりに見たよあんな顔」


休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴り、教室へ戻る途中。


ハルと私はそんな言葉を交わしながら歩いていた。


「まぁでも、カラ元気じゃなきゃいいけどな」

「もう大丈夫だと思うよ。だってほら」


私が立ち止まり、今歩いてきた方を振り向くとハルの足も自然と止まる。


「ねっ?」


休み時間も終わったというのにB組の中から聞こえてくるみのりの笑い声。

それを聞いたハルは、クスッと笑って。


「そうだな」と、一言つぶやいた。



私達が気にしていたら、みのりが前に進めない。

前を向いて歩き出そうとしているのなら、その背中をゆっくりでもいいから押してあげたいと思った。



< 229 / 349 >

この作品をシェア

pagetop