幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「とりあえず、次はちゃんと愛想良くするから」
涼はそう言うと、じゃ、と言って歩きだしていく。
何?それだけ?
「えっ、あのさ!」
だから思わず…私は涼を呼び止めてしまった。
「ん?」
だけどあたしの声で振り返った涼はこっちを見ながら何だか不思議そうな顔をしていて。
何を言うかも考えていなかったあたしは、慌てて口を開いた。
「あっ、明日。明日、朝8時!遅れないでよ?」
まだちょっと、ツンとした言い方。
だけど涼はクスッと笑って「お前もな」と一言だけ言うと、そのまま隣の家へと帰っていった。
涼はいつもそうだ。
あたしを怒らせるくせに、結局ちゃんと謝ってきて、すぐにケンカを終わらせる。
まぁ、だからなのか、いつもケンカが長引くようなことはないんだけど。
部屋に戻ってベッドにゴロンと寝転ぶと
、あたしはぼーっと天井を見つめた。
そしたら何故か、昨日のことが頭に浮かんできた。
岡崎さん…だっけ?
そしてそれはケンカの原因になった真鍋と涼のやりとりではなくて。
綺麗な子だったよなぁ…。
あの涼のクラスメイト、岡崎さんの姿だった。