True Love
そして電柱のそばにある坂を上ると花火大会の会場となる河川敷に多くの出店が並んでいるのが見えた。

「場所取りしてから出店を見て回ろうか」

須田くんはそう言って鞄の中からレジャーシートを取り出して、もうすでに点々と場所取りがされている階段状になっている場所に向かっていく。

適当な場所を見つけてそこを確保し、私たちは会場に降り立った。

花火が打ちあがるのは7時半かららしく、人が溢れ返してくるのは6時半から7時頃だと言う。そのおかげで今はそれほど人もおらず、スムーズに歩けて買い物ができた。

花火を見ながら食べる夕飯となるものを歩きながら探して各々に買った。

全員がある程度揃えたところで私たちは水風船の出店を見つける。水が張られた大きな透明のケースの中に浮かぶ色とりどりの水風船はとても魅力的なものだった。

「水風船楽しそうだな!怜、一緒にやろうぜ!」

「おう」

そう言って男子ふたりは300円を払って水風船取りに挑戦した。

ふたりを見ながら、私も欲しいからふたりのあとにやろうかなと思っていた。だけど、その前に柴崎くんから声を掛けられる。

「桐山、どれが欲しい?」

「え?」

突然の質問に驚く。

「さっき、欲しそうに見てた気がしたから。俺、やってみたいけど別に欲しいわけでもないし」

そんなに私ってば水風船を見ていたのか…。でも私は柴崎くんがそう言ってくれたことが嬉しくてしょうがなかった。

「えっと、じゃあこの黄色のやつがいいな」

「了解」

そして柴崎くんは私が言った黄色い水風船をいとも簡単に取ってくれた。
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