クローバーの起こしたキセキ





がんばって会話をしようと思って思いついたのがこれだけ。
私はそんな男の子なんて皆無、付き合ったことすらないし好きになった子もいない。




「麻実は?麻実はいるの?返答次第で答えるよ」




急に私に話を振られ、戸惑いながらも正直に言う。




「私はいないよ。
だって今まで生きてて好きになった子すらいないんだもん。
私から話題降ったくせにね」





あははと情けない笑いをして童君を見る。
童君も呆れているかと思っていたけど表情を見ると真剣そのもので笑いは引っ込んでしまった。
口を開く。




「俺の好きな人、教えてほしい?」




さっきまでなら教えて欲しいと言っただろうけど、真剣な表情を見た後では軽々しくうんと言うことはためらわれた。
やっぱりいいや、ごめんねと言おうとしたら唇にを何か暖かいものが触れる。
それは一瞬のことだったけど、私には一時間にも及ぶような感じがした。




「・・・・・麻美、お前だよ」




顔を離して童君は言う。
でも私は何をされたかに理解が追いつかず、固まっていた。




「麻美無事!?」




そのとき、幸か不幸か私達がいないことに気付いたのか碧海が教室に飛び込んできた。






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