クローバーの起こしたキセキ





呆然としながら口を手で覆っている私を見て碧海は一瞬で全てを悟ったらしい。
睨みつけながら、私の手を引いて持ち上げる。




「・・・・・私は、何があろうと絶対にあんたを許さない」




碧海が童君にこういうのがぼんやりと聞こえた。
そこから私は何も覚えていない。
きっと、碧海が先生に適当に理由をつけて私を落ち着かせようとしてくれたんだろうと思う。
はっと我に返ると屋上に私と碧海の二人だけでいた。




「麻美、気がついた?・・・・・こんな目が覚めた言い方じゃおかしいかもしれないけどずっとぼーっとしてたから」




ううん、と首を振って否定する。
ようやく思考が正常になってきて、さっき私が何をされたかを自分に理解させる。
キス、された。
誰に?童君に。




「碧海っ・・・・・、私、私・・・・・!キズっ、されじゃったよぉ・・・・・!!!」




「麻美・・・・・」




泣き叫ぶ私に碧海は慰めや同情の言葉を一つもかけてこなかった。
ただ、ずっと、私の背中を撫でてくれた。
上辺だけじゃなくて、私を思っているからこそのこの行動。
私は、心友にまかせてずっとずっと目が赤く腫れて睡魔が来るまで泣いた。






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