クローバーの起こしたキセキ

さようなら






伊藤先生がお母さんを呼びにくるまで、私たちはずっと初恋について語っていた。
なんでもお母さんの初恋は十二才のときらしい。




「じゃ、いってきます」




「いってらっしゃーい」




お母さんと伊藤先生は初デートをしに行く。
私は特にしたいこともなかったのでお風呂に入る。




「・・・・・そういえば海原君、なんで私に二週間こないでくれって言ったんだろ」




理由があるのだろうけど海原君に一週間ほど会えないのはかなりきつかった。
はやく海原君に会いたい。




ぽーんぽーんぽーん




お風呂から上がるとメールが来たことを知らせる着信音が鳴った。
頭を拭きながらケータイを開き差出人を確認する。
私は差出人の名前をみると、心臓がドクンと高鳴った。




「海原君・・・・・」




高鳴る胸を静めながら震える指でメールを開く。




 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
to麻美
from辰也
件名:無し
添えつけ:無し
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
明日、病院来れる?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




なんの変哲もないたわいないメール。
これが碧海からだったら簡単に返信できたけど、海原君だと意識してしまうとなんて返せばいいのか分からなくなる。






< 175 / 199 >

この作品をシェア

pagetop