クローバーの起こしたキセキ
自分のお母さんが発した言葉を聞いて、海原君は始めてポーカーフェイスを崩した。
ただし、驚きでだが。
「は・・・?母さん、麻・・・。
こいつと、知り合いなのか?まさか、呼んだんじゃねぇよな・・・」
「違うよ、私が勝手に来たの。
お母さんは関係ないよ。
何にも聞かされてないから、どうして海原君がここにいるかも分からない」
「・・・辰也、麻美ちゃんだったら、いいんじゃない?そろそろ潮時よ。
いつまでも隠し通せるわけがなかったんだから」
青い顔をしながら絞り出すように問いかけるお母さん。
その問いに対し、海原君は
「ふざけるんじゃねぇよ・・・。
こいつだからこそ、言えねぇんだろうが・・・。
出てけ、今すぐに」
と言う言葉だった。
お母さんは止めようとしていたけど、諦めたようだ。
「麻美ちゃん、ちょっと外で話そっか・・・」
私はお母さんと一緒に病院の外へ出た。
近くにあった公園のベンチに座ったお母さんの口から語られたのは、私の想像をはるかに超えた話だった。
「麻美ちゃん、辰也はね、病気なの。
ウィリス動脈輪閉塞症って言ってね、風邪みたいにほっといても治るみたいな簡単な病気なんかじゃなくて。
治療しないと死んじゃうんだ。
治療したって20歳まで生きれるかどうかってぐらい」