Wonderful DaysⅡ
「……何だ」
振り向けば、俺を真っ直ぐに見据えてくる魁が視界に映る。
「俺が外に出られるようになったら、マリアをクリブデンに連れて行きたいんです」
「クリブデン?」
「はい」
───クリブデン。
そこは、イギリスでも有名な五つ星のホテルで、魁とマリアが出会ったあのクリスマスパーティーの会場でもあった。
「もう一度、あの場所から始めたいんです」
「クリブデンで、5年前のパーティーの再現でもするのか?」
向けられた言葉に冗談で返したつもりが、どうやら本気だったらしい魁は
「協力してもらえますか?」
笑顔で協力を求めてくる。
確かに五年前のパーティーを再現するには、俺の協力がなければ不可能だ。
クリブデンを指定している時点で、魁の意図している事は直ぐに分かったが……
「…………いいだろう」
失いかけていたマリアの笑顔を守ってくれた事を思えば、普段ならば了承するはずのない願いに頷いていた。