女達の戯言
次の瞬間


早紀子は
足首をぐっと掴まれた


驚いて声も出ない早紀子


恐怖に戦(おのの)きがらも
振り返ると


早紀子の足首を
掴む手は
ベッドの下から伸びていた


ーーーー怖いっ!


と思ったのも束の間


早紀子の足首を
掴んだその手は
瞬く間に力が抜けて
ゆっくりと落ちていく


ドサッ


そして
その手は完全に
動かなくなった


全てを思い出した
早紀子は立ち上がると


更に匂いがきつく香る
ベッドの下を
そっと覗き込む


ーーーあんたが私の事を
裏切るからじゃない……
あの女と結婚なんかするから……
自業自得よーーー


いつしか早紀子は
静かに微笑んでいた
もう酷い頭痛など
気にならなかった


そして
音のない部屋に
早紀子の呟く様な
声だけが響く


「そうだった……
私が雅也を……」




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